BILA KU INGAT   忘れ残りのインドネシア

おとっつあんの忘れ残りの記
月別アーカイブ  [ 2013年04月 ] 

やまぶきダッシュ -3-

案内板の前に、Aさんを残して、ここから私は猛然と走り出す。

喫茶・土産売り場兼案内所風の館内に入って、
ようやく探し当てた登園の係員にヤマブキの所在を尋ねる。

口頭ではそのエリアが分からないので、
その係員に付き添ってもらってヤマブキエリアまで小走りに。

焦りが募る。間に合うか。

幸い案内板からはそう遠くない、小高い丘を下った崖際にヤマブキは静かに咲いていた。 

思ったより小さな花だった。

かわいらしい花だった。

「ありましたよ!」
せわしく息を継ぎながら、今度は、Aさんの車イスを押しながらのダッシュだ。

Aさん頼むぞ、車椅子から落ちないでね!

ここでAさんを落とすようなことがあったら、私の即日解雇は決定的だ。

私とAさんの猛ダッシュは、傍から見ると、かなりの滑稽さを放っていただろう。



無事到着。


「これがヤマブキか。想像通りきれいな花じゃな。」

Aさんは感慨深げにヤマブキに視線を注いだ後、その花を手で触って愛でている。

喧騒が嘘のように。

時間が止まったような人生の凪。

降りそそぐ春の午後の陽光と、

車椅子を押すおっさんとおじいさんと、オレンジ色のヤマブキの花。


Aさんは、

花をひとつポチンと摘み取りポケットに入れて、

私に向かっていたずらっ子のように、ニコと微笑んだ。 


       -完-  



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